化粧品に飛びつかなくなった理由
先日Xで、ある美容液が発売されるとのポストを見かけました。
前提として、化粧品の消費者としての私は「30代半ばから関心が低下した層」です。
一般的には「30代前後からアンチエイジングを意識するようになり、スキンケアにお金をかけるようになった」
という女性の方が多いと思うので、私は少数派かと思います。
関心が低下した理由は
「何を使っても効果が実感できた20代と違い、まったく変化を感じなくなったから」。
30代前半くらいまでは口コミや美容部員さんの説明に期待を抱き、
色々な商品を試していましたが、
年齢を重ねるにつれ「これ…効いてる?」「いや、効いてるはず」と
無理やり納得しようとすることが増えていきました。
たまに、急にモチベーションが上がって高い化粧品を買うこともあるのですが、
(この謎モチベは女性なら絶対あるはず)
モチベーション(期待)の高さに見合うだけの効果実感がないので、
必要以上にがっかりします。
期待を込めた分、肩透かしを食らってしまうのだと思います。
そういうことを繰り返しているうち、
自分が抱えている悩みを解決してくれるらしい化粧品を見ても、
「期待させるのは上手だよね」と冷静に受け流してしまうようになり、
何を訴求されてももう引っかからない(?)と思っていたのですが。
共感度200%のコンセプト
そんな腰が重い私が、久し振りに「欲しい!」と思ったのがこちらの美容液。
この商品は「運動と美肌の関係性」に着目したもので、
日常の活動時間を積極的に活用し、運動後のような美しい肌へと導いてくれるというコンセプトだと、
ある美容アカウントが紹介していました。
このコンセプトが私にクリティカルヒットしました。
と言うのも、以前メイクレッスンを受けた際、
どんな仕上がりが理想かという質問に
「ヨガの後みたいな、自然な血色とツヤ感がある肌になりたい」と答えたことがあるくらい
「運動した後はなぜか肌がいい感じに見える」という実感があったから。
もう共感度としては200%くらいの感覚です。
お恥ずかしい話ですが、もう美容液を使ってすらいない私。
でも、これはさすがに買いなんじゃないか。
久し振りに買うか。美容液をよ。
そう思って価格を確認したところ、13,200円(税込)。
美容液なので妥当なお値段。
とはいえ、今月は化粧品とまったく関係のないところで大きい出費があるため
「どうしよう」と思い始めます。
でも欲しい。
どうしよう。
悩んだ末の方向転換
悩んだ結果、私は美容皮膚科で全顔シミ取りのカウンセリング予約をしました。
なぜって、美容液は効くか効かないかわからないから。
であれば、最近気になっていた&確実に効果があるシミ取りレーザーの方がいいのでは?と思ったから。
あと、よく考えたら私日常的に運動してるから…
(でも運動後の肌が特別調子がいいとは思っていない。ヨガが肌によかったのかな?)
という訳で、最近気になっていたシミを確実に何とかすべく、美容皮膚科の予約を取りました。
入口は美容液でしたが、気が付いたら美容医療に着地した、という形です。
カスタマージャーニーで見る「2つのハードル」
このような商品購入のプロセスを理解するのに役立つのが「カスタマージャーニー」です。
どんな情報が「欲しい!」という気持ちを高め、購買を後押しするのか。
「やっぱり買うのやめておこうかな」と思わせるハードルはどこに存在するか。
時系列で生活者の行動・思考を整理していくため、取り除くべきハードルを把握することができます。
今回の私の例で言うと、
① 「運動後のような美しい肌」に非常に共感。「欲しい」と思い、テンション上がる
↓
② 価格を見て冷静になる(ハードル1)
↓
③ 「美容液は効くか効かないかわからない」
「運動後の肌がそんなに美しく見えるか疑問に思う」
など、ネガティブな部分に目が向く(ハードル2)
↓
④ 最近シミが気になっていたので、確実に効果が得られるシミ取りを優先する(結論)
という流れになります。
化粧品メーカー目線で見ると、ハードルは2つあります。
・ハードル1:価格
・ハードル2:ネガティブな疑い
この2つのうち、より優先的に解消すべきはハードル2の
「ネガティブな疑い」の方になります。
「値下げした方が買ってくれるのでは?」と思われるかもしれませんが、
価格を下げると「品質・効果への期待感」も低下してしまいます。
「高いものの方が品質がよく、効果もありそう」と思ってもらえるので、
安易な値下げは、必ずしも購入につながらないということですね。
(バシャバシャと量を惜しまず使いたい化粧水と違って、美容液は特に値下げが難しいアイテムだと思います)
ハードル2「ネガティブな疑い」を解消するためには、何が必要だったでしょうか?
次回のブログでもう少し掘り下げて考えてみます。