2024年に買ってよかったモノの話
もう早いもので3月末。
2024年度もあと数日で終わりですね。
ちょっと今さらなタイミングではありますが、2024年に買ってみて「これは地味に生活の満足度を上げてくれたな」と感じているアイテムのことを書いておこうと思います。
2024年に買ってよかったもの、それは「洗顔リストバンド」です。
どんなものか説明すると、スポーツ用のリストバンドを少し厚くしたような、タオル地のリストバンドです。
洗顔時に手首につけるだけで、腕を伝って肘に落ちていく水をせき止めてくれるという優れものです。
偶然地元の衣料品店で見つけて「天才か」と思い購入したのですが、使ってみたら想像の3倍くらい洗顔が快適になりました。
こんなに素晴らしいものは友人にも勧めなくてはと思い、
友人に会った時に洗顔リストバンドの良さを熱弁したのですが…
友人との会話で見えた“価値観の違い”
「洗顔リストバンド、めっちゃいいよ!洗顔のときに水が肘を伝ってこないんだよ」と言う私に、
友人はあっさりこう言いました。
「えー、でもわざわざリストバンドつけるの面倒くない?」
なんと。
「でも床濡れるの嫌じゃない?肘に水が伝ってくるのもめっちゃ気持ち悪いし」
と食い下がると、
「水だから床はそのうち乾くし、肘に水が伝うのは、まあそういうもんだと思って諦めるよ」
と再び却下。
もう1ミリも理解できない。
でもその違いを感じた瞬間、あることに気づきました。
私は「水が垂れてくるかも」と想像した時点で、すでにちょっとした不快感を覚えていたんだな、と。
実際に水が垂れるかどうかよりも、「水が垂れるかもしれないから気をつけないと」という“想定外の事態へのストレス”が
自分の中にあるんだと気づかされたのです。
気づき:自分が求めていたのは“予測不能な不安の回避”
そう考えると、洗顔リストバンドがくれた快適さは、
単なる物理的な機能ではありませんでした。
それは「不確定な未来」からくる、ほんの小さなストレスを先回りして回避してくれる、
いわば“予測不能の不安”からの解放ツールだったのです。
「もしかしたら」「〜かもしれない」という想像が浮かんでしまうと、無意識にそれに備えようとしてしまう。
リストバンドをつけることで、その想像すら湧かない。
だから快適なんですね。
言い換えれば、「安心して洗顔できる」という状態を買っていたんだな、と思いました。
商品価値は絶対的なものじゃない
この経験を通じて改めて感じたのは、
「モノの価値は絶対ではない」ということです。
マーケティングの世界では、
モノ(商品)の価値は「機能価値」と「情緒価値」に分けて考えることが一般的です。
「機能価値」は、その商品やサービスがどんな機能や性能を持っているか。
「便利」「速い」「安い」「頑丈」「美味しい」など、客観的に測定できる価値であることが多いです。
要は、その商品で「何ができるか」という価値。
「情緒価値」は、その商品やサービスが感情に与える影響や、気分・イメージの良さ。
「かっこいい」「おしゃれ」「安心する」「ワクワクする」「自分らしい」など、感情や気持ちに訴える価値のことです。
その商品を使うと「どんな気持ちになるか」という価値ですね。
洗顔リストバンドの“機能価値”は明確です。
水をせき止めて、床や肘を濡らさないという点。
でも、私にとってはそれだけではなかった。
「予測不能なことが起きない」
「水が逆流しないようにつま先立ちしたり、手首の角度を微調整したりせず、リラックスして洗顔できる」という
“情緒的な安心感”こそが主な価値(コアベネフィット)でした。
面白いのは、この情緒価値が人によってまったく異なるという点です。
私にとっては「水が垂れるかも」という未来の可能性がストレスだけど、友人にとってはまったく気にするポイントじゃない。
このギャップがまさに、モノを評価する視点の違いというものですね。
そして、リサーチやマーケティングでとても大切な「ターゲットによって価値は変わる」という考え方につながっていきます。
「ターゲティング」の大切さ
商品価値は、誰に届けるかによって、評価が大きく変わるものです。
「水が垂れるのが気にならない」人にとって、洗顔リストバンドは“余計なひと手間”。
でも「想定外の水濡れがストレス」な人にとっては、日々の快適度をぐっと上げてくれる神アイテム。
つまり、商品は絶対的な“良し悪し”ではなく、相対的な“ニーズ”で判断されるんですよね。
だからこそ、「売れないなぁ」と思っている商品でも、
適切なターゲットの前に差し出すことで真価を発揮し、
評価が180°変わる可能性があるんです。
私の視点とスタンス
私はマーケティングリサーチの仕事をしている中で、
こうした「人によって異なる価値観」や「ちょっとした違和感の背景」に強い関心を持っています。
今回の洗顔リストバンドのように、日常の中の小さな選択や快・不快の中にも、
その人なりの“無意識の価値観”が隠れている。
そんな細かな視点から、「どんな人に、どんな価値が刺さるのか?」を読み解いていくことに喜びを感じています。
もし、商品の“本当の価値”や“誰に届けるべきか”に迷ったら、ぜひ一度お話ししましょう!
あなたの中にある「伝えたい価値」が、ぴったり届く場所を一緒に探すお手伝いができるかもしれません。
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